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ムソウカミキリ

ムソウカミキリ

線が引かれ、
折られ、
ちぎられた部分のある古本。

古本屋によくお世話になる私が、時々お目にかかるタイプの本がこの手の本であります。

こういう本を見ると、
ただ単に自分勝手な人が本を売ったんだ…などと短絡的な思考に陥ることができず、

ついつい、
この本には何かが隠されている、などと余計な詮索を始める悪い癖が私にはあります。

古本をパラパラとめくって感じること。
このきたない赤線はきっと何かを訴えようとしている…

本当は破れた部分に興味があるのだが、それは持ち主に聞いてみないとわからないので仕方がないとして、

いや、そんなことよりもこの本は持ち主が売ったものだとは思えない。
その家族か、或いはその近辺の人が中を見ずに売ったに違いない…

違いないと、
断言するのは私の傲慢ですが、一体この感覚は何なのだろう。

本当は家族にこそ読んで欲しかったのではないか?

それを見ず知らずの他人である私が勝手に読んでは、余計なことを言っている。

この本を私が買うことは、
この本の真の持ち主に迷惑なのかもしれない。

可能性は限りなくゼロパーセントに近いかもしれないが、その家族の誰かが、なんとなく感ずいて、再び手に取ろうとすることをささやかに祈りつつ、私はこの場を去りましょう。

たとえ、
これが私の妄想だとしても……

なんてことをこのカミキリムシは考えているのかも知れない。

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