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ムソウグモ

ムソウグモ

その名も「ムソウグモ」。

夢想郷に棲むポピュラーな蜘蛛です。

なぜ紫色なのかは想像にお任せするとして、それ以外は普通の蜘蛛と見た目の上では大差がありません。
違いといえば、
「自分のための巣は張らない」
ということくらいです。

普段は樹上生活をしながら下界(地上)を見晴らし、緊急事態が発生した生物を見かけたら自らの糸を命綱として供給する、それがこのムソウグモの役割であります。

この蜘蛛の糸に救われる生物はごまんといます。

ただ、
この命綱も万能というわけではありません。

細く切れやすいもの、
太いが掴みにくいもの、
ねばねばするもの、
するどいもの、
などなど…

色々なバリエーションの糸をムソウグモは創り出すのです。

その完成される糸は、
緊急事態から救われるであろう可能性のある動物たちの、平生の行いより決められるといいます。

どのような行いを評価するかは、
ムソウグモ様の勝手ですから、私ごときがどうこういえるものではありませんが、その評価次第で垂らす蜘蛛の糸の数が変化するのだそうです。

蜘蛛の脚の数である八本が最大で、最低の場合でも一本の糸は垂らすといわれています。
ただし、
本数にだまされてはいけません。

一本の糸でも立派な強度をほこる糸もありますし、八本の非力な糸が収束している場合もあるのです。

結局のところ、
命綱は与えはするが、それを生かすも殺すも己次第ということなのでしょう。

生前の行いに対して帰納的解釈を加えることにより、その収束する糸の本数は決するが、その質は一様ではない。

素晴らしいと思っていたことがとんでもないことだったということもあるでしょうし、一見したところどうでもよいことが実は物凄く大切なことであったということもあるでしょうし、それらの判断はなかなか容易に行えることではありません。

時として、
ムソウグモの想像を超える生き方をする生物もいるかもしれない。
そのような時には、
ムソウグモはどのような糸を創ったら良いのか迷ってしまうこともあります。

こういう場合に、
ねばねばした糸や、するどい糸といったような特殊な糸を創りだすのです。

そのような試練的な糸を乗り越えられるかどうかはわかりませんが、それを与えられたものは、少なくともムソウグモ様に何かしらの期待をされているのかもしれません。

逆境を乗り越える、
つまり、
この特殊な糸を登りきった時、

今度はその生物が、
そこへ至るまでの帰納的解釈を演繹していく必要がある。

私は「夢想蜘蛛の糸」をこのように解釈しています。

※ブログより引用。

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