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ジャアクワガタ(VER.E)

ジャアクワガタ(VER.E)

異世界よりあらわれ、
夢想郷の生態系を大崩壊させたクワガタムシ、
その名も「ジャアクワガタ」。
(デビルクワガタ、クワガタエビルなどの別名もあるのだそうです)

夢想世界自体が異世界だというのに、その更に異世界とはどんなところなのか?

そんなことはどうでもいい!
とにかく夢想世界のバランスが大幅に崩れてしまっていることには変わりはないのだから、とにかく「ジャアクワガタ」の除去が先決だ。

夢想世界のお偉い方はそうおっしゃっているが、私は必ずしもそうとは思いません。

なぜならば、私が以前目撃した「ジャアクワガタ」は人類との争いを、まるでお飯事(ままごと)のように楽しんでいるようであったからなのです。

或る時は、
私の長距離狙撃用粘着性高分子多糖類「ゴム・パッチン三連打」を浴びてもびくりともせず、むしろ、「もっと攻撃してこい、俺はそのたびに強くなる、ワハハハ」とでもいっているかの如く態度で目の前を颯爽と飛び去り。

また或る時は、
近くで「カチカチカチカチ」と、まるで蜂の警戒音のような音を発し、蜂を毛嫌いする夢想人の神経を逆なでする。

またまた或る時は、
まるで全身武器庫だぞといわんばかりの勢いで、しかも我々の目の前で次々と木々に切り傷をつけていく。
「あまり調子に乗るとこの刃をお前に向けるぞ」という暗黙のメッセージを込めながら。

またまたまた或る時は、
わざと目の前に止まり、
「ほーれ、ここにいるぞ。どうぞ駆除してくださいなぁ……」

おのれぇー、このクソ虫野郎、夢想人を散々馬鹿にしおってぇー!!
てめぇなんぞ、この夢想人様が徹底的に駆逐してやるぞ!!!



ようやく冷静さを取り戻した私が、
ふと気づくと、
目の前には、
朽ちて変わり果てた姿の「ジャアクワガタ」が横たわっているのでした。

私は確かに「ジャアクワガタ」に勝利した。
本当ならばもっと喜んだり、英雄気取りをしても良いのかもしれないが、私はそんな気にはとてもなれなかった。

私が今回の「ジャアクワガタ」との戦いで思い知らされたこと

果たして「ジャアクワガタ」は本当に「ジャアク」なのか。
「ジャアクワガタ」は一度も私には危害を加えていない。
私が勝手に神経をすり減らしていただけだったのではないか。

そして、
何よりも恐ろしかったことは

「ジャアクワガタ」駆除に心を奪われていたときの

私の心こそが、
「真のデビル」であったということに………

(続く……)


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