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ジバクワガタ

ジバクワガタ

「何なんだ、この触覚は!こんな邪魔な触覚を持つくらいならば、触角なんてないほうがいい!」
そんな叫び声を発しているかのごとく発狂しているクワガタムシ。

名は「ジバクワガタ」というらしい。

自分勝手な夢想世界の創造主に、なぜか知らぬが「縄跳び」状の触覚を与えられ、その扱い方に四苦八苦している進歩的なクワガタムシ。

自分の大きさに比べるとやや短い触角。
こんな触覚では「縄跳び」がしたくても自分の体に引っかかってしまい、それこそ自縛状態になってしまうではないか。

己の身に備わる能力に疑いを持ち、拒否感を覚えるが、かといって捨て去る勇気もない。

………

私はこのクワガタムシを見て、かつての私を思い出した。あれは確か小学校低学年の頃の鉄棒の時間。私は「逆上がり」は出来るのにもかかわらず、そのひとつ手前のステップである「足抜けまわり」が出来ないために、出来るはずの「逆上がり」まで出来ない扱いにされてしまうのだった。
小太りの私が「逆上がり」をいとも簡単にこなすのはなかなかに素晴らしいことではあったが、それよりも初歩的とされる「足抜けまわり」が、ぷっくらとしたお腹が邪魔で出来ないというこの屈辱感。

………

まあ、そんな私のことはどうでもいいのですが、とにかく「ジバクワガタ」はこの夢想世界で使命をまっとうするまでは生き抜かねばならない。

自分の体を小さくしてその縄を飛ぶなり、
縄を長く成長させて飛ぶなり、
場合によっては縄を捨ててもいいだろう。
でも、
せっかくいただいた縄なのだから、できるのならば大切に保持したままで自らを進化させたい。

選択肢はいくらでもある。
せっかくいただいた能力なのだから、その能力に関しては自分で責任を持つしかない。
他の生物にはわからない能力なのだから、なにも理解してもらおうなどと思う必要はない。

葛藤して、
悩んでいる時間がもったいないとか、
周囲の生物はみんなどんどん歩んで行ってしまうということもあるでしょう。

それでいいのです。

それぞれに、
それぞれの歩み方がある。

今回の「ジバクワガタ」の場合は、
どうやら、
「縄跳びをしながら歩み始める」ことに決めたそうです。

しかし、
これはこの個体の選んだ道なのです。

※ブログより引用

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