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ピーコックワガタ

ピーコックワガタ

今回の夢想世界調査員は、
一癖も二癖も三癖もあるので調査依頼に苦労しましたが、
それもそのはず、
彼らは、あの噂に名高いワガママ兄弟なのだから。

その名も、
「ミザル・イワザル・キカザル」。
三人そろって一人前、というか三位一体で常に行動する仲がよいのか悪いのかいまいちわからん三人衆なのです。

リーダーの「ミザル」は、
我は心眼を身につけるまでは決して「見ない」と駄々をこねるし、

サブリーダーの「イワザル」は、
口は災いのもとであるから、私はしばらく「口をきかない」とひねくれ、

そしてバランサーの役割を持つ「キカザル」は、
人の話に耳を貸してたまるか……
いいえ、それでは夢想と現実が同じになってしまいます。
そうではなく、彼は常に新しい服でないと人前に出られなーいと、「着飾る」のが得意なのだそうです。

このうちの二人、
すなわちミザルとイワザルは私と会ってくれないもんだから、調査報告のほとんどはキカザル君からのものとなります。

なるほど…彼らしい調査生物ですね。
その名も「ピーコックワガタ」。
別名「クジャクワガタ」。
いずれにせよ「ク」が付く有難いクワガタムシなのだそうです。

このクワガタムシも「キカザル」君と同系統の、いわゆるファッショナブルな存在なのだそうですが……

うん、うん、なるほど、確かに着飾っているね。

でも……

羽が重すぎて機動性には乏しいのだとか。
自らの生命力を落としてまでも美を追求するとは何て勇ましいクワガタムシなのでしょう。

しかも、
見た目が全てであるからして、
我は武器をもたないと言いたいかの如く小さな大顎は平和を通り越して楽園をも想像させるほどに美しい精神の象徴です。

とはいえ、

これが自然淘汰ならば問題ないと思いますが、
人為淘汰であるとすると少々厄介かもしれません。

あるいは人為淘汰ですら偉大なる自然淘汰のあり方の一つであるとすれば…

私も現実から目をそらし、
ただひたすらに口を閉ざすだけとなるでしょう……



そう言い残して、キカザル君は新たな調査に旅立った。

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